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ビジャレアル

《正式名称》 Villarreal Club de Fútbol
《ユニフォームカラー》 黄/青

【本拠地】 ビジャレアル
【創立】 1923年
【スタジアム】 エル・マドリガル
【スタジアム収容人数】 23,000人

【国内タイトル】 -
【国際タイトル】 -
【過去の所属選手】 クライオベアヌ、ビクトル、パレルモ、ベレッチ、レイナ

【現在の会長】 フェルナンド・ロイグ
【現在の監督】 マヌエル・ペジェグリーニ
【現在の所属選手】 リケルメ、フォルラン、ホセ・マリ、ソリン、セナ

【昨季の成績】 国内リーグ3位

 ビジャレアルCFは一際目立つ黄色いユニフォームと昨今の大躍進で広く知られるようになった新興クラブ。そのユニフォームカラーから、ビートルズの有名曲にちなみ“イエロー・サブマリン”、もしくは“サブマリンズ”の愛称で呼ばれることが多い。
 地名でもあるビジャレアルは、“王の”という意を持つ“レアル”と、“町、都市”を示す“ビジャ”、つまり“王の町”を意味する。ここでいう“レアル”は、レアル・マドリードなどスペインの複数のクラブが冠している“スペイン国王の”という意味の称号とは全く別のものだとか。こちらは、スペイン統一前、バルセロナを中心にイベリア半島北東部からシチリア島に及ぶ地中海地域で栄えたアラゴン王国の国王を示す。よってエンブレムの王冠も他のクラブとは明らかに違う形をしている。

 本拠地ビジャレアルは、バレンシアーナ自治州の片隅に位置する人口約4万6千人ほどの小さな小さな田舎町。よって町の人口の約半数を収容できるホームスタジアム“エル・マドリガル”が満員になることは滅多にない。2万3千人収容というとスペインでは少ない部類に入るが、州都バレンシアにあるメスタージャの収容人数(5万5千人)にも満たない人口しか有していないビジャレアルにとってはキャパシティーが大き過ぎるようである。しかし、近年、チームが快進撃を続けていることもあり、週末に行われるリーグ戦のホーム平均観客動員率は70%以上に達している。この数字を見れば、ビジャレアルCFがどれだけ地元で強く支持されているかが窺えるはずだ。

 とはいえ、スペクタクルなフットボール、熱狂的なサポーター、選手や監督の一挙手一投足に反応するメディア・・・・・・のような一般的にあるスペインサッカーのイメージとビジャレアルのそれは重ならない。むしろマドリード、バルセロナ、バレンシアなどの大都市にあるのが喧騒ならば、ビジャレアルにあるのは静寂であろう。名所のようなものは何もなく、景色もどこか灰色がかっている。しかし、地味なビジャレアルは、ここ数年、ピッチの上に限って、派手なビッグクラブに負けないほどの旋風を巻き起こして見せたのだった。

 ビジャレアルCFが創設されたのは1923年で、スペインリーグの他クラブと比較して早いとはいえないが、取り立てて新興クラブというほど遅くもない。あの黄色いシャツと青いパンツにしても1947年から60年近く身に付けている伝統的なユニフォームだ。現在1部に所属するマラガCF(1994年創立)らと比較すれば、かなり息の長いクラブだといえよう。
 しかし、ビジャレアルが新興クラブといわれる所以はトップリーグでの実績にある。1923年にスタートを切った彼らが初めてスペイン1部リーグに登場したのは、75年後の1998年なのである。今季を含む1部在籍数は、ちょうどマラガCFと同じ7季。人口4万6千人の小さな町のクラブが、1部在籍6季目にして国内リーグ3位となり、7季目に欧州CLへ挑戦しようというのだから、やはり新興クラブの大躍進と表現する以外にないだろう。

 3部(4部相当)や2部B(3部相当)を行き来し、2部A(2部相当)に上がれれば御の字だったビジャレアルCFに転機が訪れたのは1997年のこと。現在もその職を務める実業家フェルナンド・ロイグが会長に就任し豊富な資金を投入すると、最初の1997-98シーズンに2部Aで4位に入り、クラブ史上初となる1部昇格を果たす。
 迎えた98-99シーズンには、レアル・ソシエダで活躍していたルーマニア代表FWクライオベアヌらを補強し初の1部残留に挑むが、このときは勝ち点が4つほど足りず、18位でプレーオフに回り、セビージャに敗れ2部Aへ逆戻りする。しかし、99-00には2部Aで3位となり再び1部昇格を遂げた。

 00-01シーズン、2度目となる1部挑戦のチャンスを得たロイグ会長は、それまで以上に補強に力を注ぐ。バジャドリードからFWビクトルを引き抜くと、DFラインには現在でもクラブを支えているアルゼンチン人アルアバレーナ、スペイン人キケ・アルバレスらを加え、さらにシーズン中の2001年1月には、アルゼンチン代表の大物FWマルティン・パレルモまで獲得したのだった。2000年12月のトヨタカップで2得点を挙げレアル・マドリードを沈めたスーパースターの到来に地元ビジャレアルの人々は沸き返り、その勢いのままチームは00-01シーズンを国内リーグ7位という素晴らしい好成績で終える。

 01-02シーズンにはさらなる飛躍を目指したが、そう簡単にはいかず、結局は降格したラス・パルマスと勝ち点3差の15位、続く02-03も同じく15位と寂しいシーズンが続いた。鳴り物入りでやってきたパレルモも、怪我などで大きな活躍をしないまま70試合18得点という数字を残し、このシーズンでクラブを去っている。
 しかし、この期間にビジャレアルはただ足踏みをしていたのかというと、そうは言い切れないだろう。01-02にFWグアイレ、DFバジェステロス、02-03にはMFのセナ、ホシコ、DFのベレッチ、GKのレイナらを加え着々とチームの土台を築き、02-03シーズン前に行われたインタートトカップでは決勝進出(惜しくも同国のマラガCFに敗れた)を果たし経験も積んでいる。またスター選手パレルモの存在は、バレンシア郊外の片田舎にある弱小クラブの名をスペインはおろか海の外へアピールする手助けをしたに違いない。

 03-04シーズン前、クラブはそのパレルモを放出し、代わりに大補強を行う。トップにフランスのリヨンからソニー・アンデルソン、両翼にはロジェール、ホセ・マリ、DFラインにアルゼンチン代表コロッチーニ、そしてチームの中核にバルセロナで燻っていたアルゼンチン代表リケルメを迎え入れたのだった。
 パレルモと同じようにリケルメは、ビジャレアルに少し不釣合いといえるほどの有名選手だったが、ピッチの上では大きな違いを見せる。リケルメはすぐさまビジャレアルの環境に馴染み、小さなクラブの王様へ納まるにとどまらず、それまでの自分と同じくらい注目されるような場所へとチームを牽引していった。

 03-04のビジャレアルはまずインタートトカップで初優勝を遂げ、UEFAカップの出場権を得る。するとそのUEFAカップでは何とトルコの強豪ガラタサライ、イタリアのASローマ、スコットランドの雄セルティックを次々に粉砕し、ベスト4まで進出したのだった。
 同国対決となった準決勝では2戦合計0-1というスコアで惜しくもバレンシアの前に屈したが、王者を大会で最も苦しめていたのはビジャレアルだったといえよう。(バレンシアは準決勝2試合と決勝1試合のみをベストメンバーで戦い、決勝は危なげない2-0の勝利。)ヨーロッパで輝かしい成績を挙げたビジャレアルは、このシーズンを国内リーグ8位で終え、再びインタートトカップ出場権を獲得し、さらなる飛躍を目指すこととなる。

 順調に成果を挙げてきたビジャレアルだが、04-05シーズンには少し変化が訪れた。それまで監督にはあまり知られていないスペイン人指揮官(ホアキン・カパロス、ビクトル・ムニョス、ベニト・フローロ、パキートら)を短いスパンで起用する傾向にあったが、このシーズン前にはわざわざアルゼンチンの名門リーベル・プレートからマヌエル・ペジェグリーニというチリ人を招聘したのである。その新体制で臨んだシーズン前のインタートトカップでは、2年連続となる優勝(決勝では同国のアトレティコ・マドリードと対戦)を果たし、幸先の良いスタートを切る。
 メンバー的には、レンタル期間を終えたコロッチーニの代役として同じアルゼンチンの新鋭DFゴンサロ・ロドリゲスを獲得すると、移籍期限ぎりぎりにマンチェスター・ユナイテッドからウルグアイ代表FWフォルランを補強し、10月にアンデルソンを放出している。しかしリケルメのチームであることに変わりはなく、新監督もそのことを十分に理解していたようだ。

 熟成度を高めたビジャレアルは国内リーグで好調を維持し、ピッチの中央でリケルメが存分にタクトを振るうと、前線ではフォルランが確実にゴールを量産する。11月にはFWフィゲロア、MFソリンという二人のアルゼンチン代表選手を加え、さらにチーム力を上げていった。とりわけ欧州カップ戦の出場権がかかった後半戦では、その底力を見せつけたといえよう。
 そして最後はバルセロナ、レアル・マドリードに次ぐ3位という素晴らしい順位でシーズンを終えるのだった。移籍後すぐさまエースとなったフォルランはスペインリーグ得点王にも輝いている。カップ・タイドによりフォルランが出場できなかったUEFAカップでは前年より一つ下のベスト8進出にとどまったが、ビジャレアルはそれ以上の成果である欧州CL出場権を手にした。

 新シーズンを控えたビジャレアルのファンにとって一番の吉報は、リケルメの完全移籍である。今まで2シーズンに渡ってクラブを引っ張ってきたアルゼンチン代表MFは、レンタル期間を終え、契約上はバルセロナの所属選手に戻ったのだった。しかし本人の希望もあり、ロイグ会長は再びビジャレアルの選手としてエル・マドリガルへ連れ戻すことに成功している。
 3季に渡りゴールマウスを守ってきたレイナがリバプールへ移籍し、代わりの選手を補強した以外でスタメンに大きな変化はなく、今季はそれまでの力を欧州CLでも発揮できるか、また国内リーグと両立できるか、などが課題になりそうだ。シーズン前に行われた欧州CLの予備選では、あまりいい組み分けとはいえないイングランドのエバートンとの対戦になったが、安定した試合運びで2戦2勝を挙げ、見事に05-06シーズンの欧州CL本選出場を決めている。イエローサブマリン旋風が欧州を席巻する日もそう遠くないかもしれない。